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人の手で作り出されたもう一つの宝石「ビーズ」

人の手で作り出されたもう一つの宝石「ビーズ」

子どもの頃から既に身近にあったビーズ。小さい頃は、色とりどりのビーズが宝石のように見えて宝物でしたね。
「ビーズ」と聞くと、“子どものおもちゃ”とか、“手芸のための材料”とか、なかなかアクセサリーやジュエリーとイメージが結びつかない方が多いように思えます。
しかし、1個数十円のビーズを組み合わせれば、今まで見た事もないアクセサリーや色々な物に変身してしまう…、そんなビーズについて。

ビーズコインケース
昭和レトロなビーズコインケース小銭入れ、ヴィンテージビーズイヤリング

ビーズの起源

世界最古のビーズは、10万年前のイスラエルとアルジェリアの遺跡から出土した、中心部分に穴の開いた3つの貝殻の装飾品だといわれています。

ビーズとは、装飾や手芸などに用いる穴の開いた直径10mm以下の小さな玉で、素材はガラスやプラスチック・古来の石(天然石や宝石)・貝殻・真珠・珊瑚・動物の角や骨など、特にガラス製のものは“とんぼ玉”と呼ばれます。形状は球形や円筒形の物が多いほか、花形や星形など様々あります。

ビーズという言葉の起源は、アングロサクソン語の“biddan(祈る)”、又は、“bede(祈る人)”から来ていて、祈りのためのビーズは世界の半分以上の宗教(ヒンズー教、イスラム教、ローマンカソリックなど)で使われているそうです。

貝殻などがビーズとして使われていた時代から自然石を加工したビーズへ、そしてガラスビーズ(とんぼ玉)が誕生します。ガラスビーズは紀元前2000年頃の古代エジプトの時代から発見されていますが、いつ頃から作られていたのかははっきりしないそうです。
紀元前200~300年頃には直径5mm以下のガラスビーズがインドで盛んに作られるようになり、1200年頃になると中国でも製造されるようになりました。

ヨーロッパでも11世紀にはガラスビーズの製造が始まっており、その地域独自のデザインや技術が多くの地域で生み出されました。
産業革命が起きた1830年以降になるとシードビーズ(種のように小さいもの)のサイズも豊富になり、またプラスティックビーズも登場し、機械による大量生産が始まりました。

日本では、約2万年前の旧石器時代の遺跡(美利河遺跡、湯の里遺跡など)からカンラン岩(火成岩の一種)の玉類が発掘されており、やはり女性の装飾品や護符として珍重されていたようです。
ガラスの勾玉が作られるようになったのは、弥生時代の中期頃からといわれ、正倉院には数十万個のガラス玉と製造のための原材科・燃料などを記した8世紀頃の文書が収蔵されています。

奈良時代から平安時代初期には、ガラス玉(とんぼ玉)は厨子(ずし/仏像・仏舎利・教典・位牌などを中に安置する仏具の一種)の装飾に使用されるなど、仏教の美術品として使われてました。
江戸時代なると、南蛮貿易(16世紀半ばから17世紀初期)を通じて中国のガラス技術とヨーロッパのガラス技術が伝えられ、長崎などで安価なガラス玉(とんぼ玉)が多数作られるようになります。そして、大阪、京都、江戸へとその技術が伝わると庶民の手に渡るようになり、根付けやかんざしなどの装飾品に使用され大流行しました。

ビーズ小物入れ
SWIMMER(スイマー)のビーズ小物入れ
ビーズバッグ
ヴィンテージビーズバッグ

その後、大正時代末に婦人雑誌などでプラスティックビーズがアクセサリーとして紹介されたり、1926年(大正15年)に出版された「ビーズ手芸全書」により手芸用品としても認知されていき、流行していきました。
2000年代始めにはスワロフスキービーズが全盛期を迎え、今は現代の工業生産されたものと違う天然石ビーズなど味わいのある手作り品やヨーロッパのビンテージビーズなどの、ひと粒ずつが個性を持っているモノが人気を集めています。

ビーズ暖簾
レトロポップなグリーン珠と花のれん、昭和レトロなチェリー柄のビーズ暖簾

現在、小粒のシードビーズは、日本、チェコ、フランス、インドが主な生産国となっており、国産ビーズは規格の良さでは他国のビーズに比べて圧倒的に評価が高く、素材として取り入れているブランドが多いそうです。

出典:ビーズ
出典:とんぼ玉
出典:ビーズの世界

最後に

手芸だけでなく、バッグやクッションカバーなど、私たちの身の回り品にも意外と多く使われている小さなビーズ、アクセサリーや衣服にドレスに、またクラフトやアート・オブジェの世界へと、ひとつの装飾品から装飾芸術へと様々な文化へ広がっています。

人の手で作り出されたもう一つの宝石、ビーズは一粒でも歴史や物語を感じる美しいものなのに、それにまた手を加える事で別のものに生まれ変わる可能性をたくさん秘めていて、一つ一つ色も表情も違うビーズを組み合わせの中から、新たな輝きが生まれます。

鏡は厄を跳ね返す、とされていることからキラキラしているものは何か跳ね返すパワーがありそうです。そして、装飾品でありながらも護符というそっと寄り添ってくれる神様の贈り物なのかもしれません。

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