昭和レトロな玩具・家電・雑誌・家具などなどをご紹介

部屋を仕切る日本生まれの「襖」

部屋を仕切る日本生まれの「襖」

光や風をほどよく取り入れて、ゆるやかに仕切るフレキシブルな襖や障子や欄間などの建具。
そんな四季を楽しみ自然を感じることを大切にしてきた日本家屋の何気ない建具が気にいってます。
ということで、障子よりも早く出現した襖(ふすま)について。

源氏物語、浮世絵
源氏物語帖「玉鬘(たまかずら)」(17世紀)土佐光義 作 出典:メトロポリタン美術館

“襖”自体は日本生まれの建具で、“襖”の文字も平安時代に日本で生まれたいわゆる国字(日本製の漢字)だと考えられています。
語源は平安時代に、寝るときに体に掛ける布製の寝具を意味した衾(ふすま=臥す間)に由来し、寝所である「衾所(ふすまどころ)」の仕切りとして用いられた事からその名で呼ばれるようになったようです。

“障子(しょうじ)”という言葉は奈良時代に中国から伝わったもので、元々は“さえぎるもの・ふさぐもの”の意味で、さえぎる道具(衝立[ついたて]・几帳[きちょう]・簾[すだれ]等)の建具全般を指したようです。
最初の形態は、板状の衝立の両面に絹織物を張ったものであったと考えられています。これを改良して周囲に桟を組み両面から絹織物などを貼って軽量化され張り付け壁(副障子)にして応用しました。
“襖”は衣服の「あわせ=袷(裏つきの着物)」の意味があることから絹織物を張った「衾障子」は「襖障子」といわれるようになります。

襖は俗に唐紙(からかみ)とも呼ばれますが、これはこの頃、中国から伝来した唐紙(とうし)が襖障子に使われるようになり「唐紙障子」と呼ばれたのが始まりです。その唐紙の上に大和絵が描かれるようになり、さらに平安時代中期以降になって、引き違いの遣戸障子(やりどしょうじ)が誕生します。そして、間仕切りで防寒の目的に加えて、金箔を蒔き散らす金銀砂子(すなご)細工の技法などの装飾的な要素が加わり、風雅を尊んだ当時の貴族階級に浸透していきました。
ちなみに、寝殿造りで外まわり建具は蔀戸(しとみど/板だけのもの)、寝殿(屋敷の主人が居住する所)の背面などの内向きの部分で遣戸(やりど)が使われました。

仁和寺の襖絵
西暦888年に完成した皇室縁の仏教寺院、仁和寺の旧御室御所の白書院の襖絵

また、平安時代末頃に、紙を漉く技術も進歩し薄く漉けるようになると、遣戸のみでは室内が暗くなるので採光と寒風を防ぐ新しい建具として「明障子」が誕生しました。これが現代の「障子」です。
やがて、「襖障子」も「唐紙障子」も“障子”がなくなり「襖(無地の布や紙を貼ったもの)」「唐紙(紋や柄があるもの)」となり、「明障子」は“明”がなくなり「障子」と称されるようになっていきます。
木枠に紙を幾重にも重ねて張るのが「襖」で、木枠に採光を考慮して薄紙を貼るだけで仕上げたものが「障子」になります。

襖に描かれた水墨画
襖に描かれた水墨画

鎌倉・室町時代になると、公家から武士階級に権力が移る過程で住宅の機能が変化していきます。「襖」「障子」などの間仕切りが発達し、畳を敷き詰めた「座敷」、「付け書院」など役割別の部屋がある書院造への関心が高まり、接客用に襖に大和絵・水墨画などを描くようになりました。いわゆる襖絵の誕生です。
安土桃山時代には、襖絵に豪華な装飾を施した障壁画(襖と貼り付け壁を連続させた絵)や金箔をふんだんに使ったものが盛んに作られますが、一方で、茶室から住宅様式として確立した簡素で質素な意匠の数奇屋造も生まれ、その部屋に襖が“侘び・寂び”を演出しました。
また、縁(ふち)といわれる枠が付いていない太鼓張り襖が誕生したのもこのころです。

江戸時代になると和紙の生産が盛んになり庶民の住まいにも襖が普及しはじめます。襖絵も素朴なものへと変わりますが、襖紙の表面にさまざまな工芸技法を用いて装飾を加える加飾技法も施され、素材にも工夫がされるようになり、襖加工技術が発達ました。

鈴木春信、浮世絵
手紙を書く少女(18世紀)鈴木春信 作 出典:メトロポリタン美術館

明治時代になると、和洋折衷の和室と洋室がある家が広まっていき、その和室と洋間の間仕切りに戸襖(片面が洋風で片面に襖紙が張ったもの)が使われるようになります。
大正・昭和時代には、襖は大量生産され庶民住宅に普及していきましたが、それに従って次第に実用的なものへと変わり、邸宅を飾る美術品としての役割を持たなくなっていきました。

現代では、手間のかかる下張りの工程を省略するために、合板フラッシュ・ダンボール・発泡スチロールなどを下地にした量産襖が普及しているそうです。
でも、伝統的な造りの襖、本襖・和襖は今でも職人さんの手により作られていて、技術は受け継がれています。(しかしながら、本襖は、古民家や金銭的に余裕がある人以外は、 望むべくもない)

出典:日本文化いろは事典
出典:
出典:障子

部屋と部屋を仕切る襖は、用途や人数に合わせて部屋を仕切ったり、開放したりすることができます。洋室のドアのように遮音性がないので、プライバシーの確保には適しませんが、家族の気配を感じながら暮らせる魅力もあります。
そして、襖は表面の紙の張替えがきき、お部屋の模様替えを楽しむことができます。また襖戸は何回でも繰り返し張り替えて使えることから、エコの面でもすぐれています。
自然素材の美しさを生かし、吸湿性に富む和紙を用いた襖は、日本の気候風土にも合い、現代の暮らしにも生かしたい建具です。

最近では、洋室にも合うシンプルでモダンなデザインの襖紙やアイロンで簡単に貼り付けることができるタイプの襖紙など出ていて、襖の張替えでガラッと雰囲気が変わるお部屋のプチリフォームにもおすすめです。(自分も張り替えをしましたが、結構簡単でした)

テキストのコピーはできません。