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雲まであがれ、天まであがれ~、イカだった「凧揚げ」

雲まであがれ、天まであがれ~、イカだった「凧揚げ」

凧というと、小さい頃、よく上がる凧をじいちゃんが作ってくれた思い出があります。
紙は障子紙だったと思うけど、真っ白だったから絵を描いてとお願いをしたところ、墨汁でデカく「たこ」と書かれました(汗。じいちゃん、“たこ上がったぞ!”と喜んでいましたが、、言わなきゃよかった、真っ白のままでよかったなーと、小さいながらそう感じた記憶があります。
ということで、来年こそは良い年になって大空に揚がってほしい凧のお話です。

「当世見立凧つくし」豊原国周 画
「当世見立凧つくし」豊原国周 画(1864年)出典:ボストン美術館

風の力を利用して空中に揚げる玩具「凧」、語源はそのものズバリ、海に住むタコ(章魚)です(笑。

凧の起源は詳しく解明されておらず、紀元前400年とも300年とも言われ、世界中で昔から存在していたようです。
日本での「凧」の記録は、平安時代中期の辞書「和名抄」に「紙老鴟(しろうし)」あるいは「紙鳶(しえん)」とあり、その頃までに中国から伝来していたと考えられています。
戦国時代には密書の伝達など実用として利用されたこともあったり、江戸時代直前までは貴族や武士の一部で遊ばれていただけで、一般にはあまり遊ばれていませんでした。

「新板かたち凧づくし」歌川芳藤 画
「新板かたち凧づくし」歌川芳藤 画(1849-1852年)小さな凧を作ることができるおもちゃ絵。出典:国立国会図書館
「五節句之内 睦月(一部)」歌川国芳 画
「五節句之内 睦月(一部)」歌川国芳 画(1800年代)達磨絵の大凧を堂々と描き、それに戯れる男児の姿、凧揚げのようすを描いた江戸時代の錦絵出典:国立国会図書館

凧揚げが庶民の間で盛んになったのは江戸時代になってからで、前期の凧は半円形の紙に数本の尻尾という形状のその見た目から「イカ(烏賊)のぼり」と呼ばれました。
明暦元年(1655年)の頃にはイカのぼり禁止令、つまり凧揚げ禁止になったほど大人気だった様子。しかし、したたかな庶民は同じ遊びを「イカのぼり」ではなく「タコ揚げ」(八本足にしたのでしょうか?)だと屁理屈で逃げ道を作り、この頃から江戸では“イカ”から“タコ”になったようです。
この呼び名は、明治時代初め頃までは関西では“イカ”、関東では“タコ”と言っていたのだとか。

ちなみに、「凧」という字は「たこ」と読むほかに、一文字で「いか」や「いかのぼり」とも読み、日本オリジナルの漢字(国字)です。風をはらむ布を意味していると言われています。

「子供遊凧あげくらべ」歌川芳虎 画
「子供遊凧あげくらべ」歌川芳虎 画(1865年)この絵は米や酒、水油、雑穀などの品名のついた凧を子供たちが揚げているもので、物価上昇を凧にたとえたものだそうです。出典:ボストン美術館
「芝居役者の凧揚げ」歌川国周 画
「芝居役者の凧揚げ」歌川国周 画(1873年)凧を揚げているのが当時著名な歌舞伎役者たち、役者の人気程度と物価の上昇がリンクされているそうです。出典:asahi-net

江戸時代に庶民に広まった凧揚げ、なかでも奴凧(やっこだこ)は、奴が大名屋敷をも見下ろすということで溜飲を下げ、人気があったとも言われています。
凧が正月の遊びとなったのは江戸時代後期のこと、それまでは正月、2月初午、4月8日の花祭り、5月5日の端午、お盆というように、季節の変わり目にお祝いをする節日(せちび)に揚げていたようです。
端午節供(たんごのせっく)での凧揚げは「初凧」などと呼ばれ、男児の初節供を祝って大凧を作り、大空に勇壮に上がる姿と、その子の成長を重ね、立身出世の願掛けとしての意味もあり、今でも行われている地域があります。
なので、本来は単なる遊びではなく、地方によって端午の節供などに行われる大凧揚げや凧合戦にみられる、幸福祈願・魔よけ・年占などの意味をもっていました。

「子供遊び凧の戯(一部)」交斎小芳盛 画
「子供遊び凧の戯(一部)」交斎小芳盛 画(1868年)絵は凧揚げに興じる子供たちを描いたもので、武者絵が描かれた絵凧や字凧など、さまざまな絵柄、形の凧がみえます。出典:国立国会図書館

凧揚げが正月の風物詩として定着したのが江戸時代、明治時代以降になると電線や建物にさえぎられ、市中での凧揚げは減っていきますが、正月や節句の子供の遊びや祭りの楽しみとして続きました。

ちなみに、昭和になり一大ブームを起こした「ゲイラ(Gayla)カイト」、日本に輸入されたのは1974年(昭和49年)。NASAの元技術者が開発したというキャッチコピーと共に鳴り物入りで登場したのだそうです。“ゲイラ(Gayla)”とは発売したメーカーの名前で、「三角形の凧」の代名詞ともなっています。

出典:凧/Wikipedia
出典:凧/コトバンク
出典:凧あげ/日本文化いろは辞典

ミニ和凧

“お正月には凧揚げて~”と歌の歌詞にもありますが、めっきり見かけることの減った凧揚げ、しかし最近のニュースでカイトを買い求める人が増えていると聞きます。
でも、誰でも簡単に揚げることができるビニールでできたカイト(洋凧)ではなく、特に揚げるにはコツがいる和凧の方が面白く、こちらで遊んでほしいな、と思うのですけどね。

そして今年最後に。ほぼ間違いなく自分は予感(予言ではなく)が当たってしまうのですが、おそらく20数年前に、環境問題や日本が…とても嫌な感じがして、それが現在コロナ禍を抜きにしても現実に起こっている気がします。日本が、このまま何も変化がないようでしたら、あまり考えたくありませんが、下降の一途をたどるでしょう。
なんとかこの禍をピンチをチャンスに変えて、死中に活を求めて、復活を望まないわけにはいきません。

凧々あがれ~、風よくうけて…、ただし真艫な風でなくては、揚がらないし飛びません。

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