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「トランプ」は、切り札だった!

「トランプ」は、切り札だった!

「プレイング・カード」「西洋かるた」とも言われているカードを使用した室内用の玩具、トランプ。

もともとトランプとは、カードゲームの用語で“切り札(きりふだ)”のことをいい、明治初期、来日した西洋人たちのカードゲームをそばで見ていた日本人が、しばしば用いられる“トランプ”ということばを、カードそのものの名称と間違えて使ったもの、といわれています。なので、カードのことをトランプというのは日本だけだとか。またそれまでは「西洋かるた」と言われていました。

切り札とは、トランプのゲームで手に残しておいてイザというところで出す最強の札をいいます。“場を切る(決着させるという意?)”といって出されるからとも、“限り札”が転じたものとも。英語ではtrumpですが、あの大統領が切り札として切られた札かは疑問が残りますが、しかし確かに、“ちくしょう、切り札を切るしかねぇ”と切られた札ではありそうです。もしかしたら、これから切り札であるかもしれません。

フランスの15世紀、ポルトガルの19世紀カード
上・フランスの15世紀プレーイング・カード、下・ポルトガルの19世紀ドラゴンカード(左から、剣、棍棒、聖杯、貨幣)出典:コトバンク

日本には室町期1543年に南蛮貿易によってポルトガルから伝来、48枚の札からなっており、ポルトガル語のcarta(カルタ)がそのまま日本語になり「かるた」「賀留多」「歌留多」「紙牌」などと書かれました。当初は主に博奕(ばくち・ギャンブル)として遊ばれ、16世紀後半は、為政者に禁止されるほど、相当流行していたようです。
なお、日本古来より存在した貝覆(かいおおい)の流れをひく、おもに教育を目的とする小倉百人一首などのかるたとは系統が異なるものです。

ポルトガルより伝えられたカルタは「南蛮かるた」、そのカルタを元に安土桃山時代に日本で作られたカルタは「天正かるた」と呼ばれ、1688~1704年頃には多人数で遊べるように天正かるたに改良を加えカード枚数(計75枚)を増やした「うんすんかるた」が誕生しました。
ポルトガル語で「1=ウン」「11=ウンスン」と呼び、“うんともすんとも言わない”という言葉の語源にもなっています。

うんすんかるた
「うなゐの友」内の「うんすんかるた」左・我が国最古のうんすんかるたと書いてありますが年代不明。右・1764~1781年頃のかるた。出典:メトロポリタン美術館

その後、1772年~80年頃に誕生したとされるのが「めくりかるた」、“めくる”というルールがあり、坊主めくりや後の「花札」の原型とも云われています。
これら西洋のカードは、賭け事に使用されることも多く江戸時代には度々禁止されました。(禁令を避けるため江戸時代中頃に日本独自の「花札」に変化したのですけどね)
花札の記事はこちら→日本の伝統的な知的カードゲーム「花札」は楽しい!

「歌かるた春夜遊」豊原国周 画
「歌かるた春夜遊」豊原国周 画(1862年)かるたで賭け事をしている様子。出典:ボストン美術館

「西洋遊戯かるた使用法」桜城酔士 画
「西洋遊戯かるた使用法」桜城酔士 画(1862年)出典:国立国会図書館

封建時代の間は禁制品でしたが、1882年(明治15年)に現在のトランプに近い英米型カードが輸入自由化されると、明治期には禁令が解かれ日本人の間でもまた盛んに行われるようになりました。
ちなみに、イギリスの大手のカード製作会社グッドオール社が極東地域での販路拡張を狙い、公使を使い日本政府に圧力をかけ輸入解禁されたようです。
1885年(明治18年)に出版された桜城酔士の「西洋遊戯かるた使用法」には、「トロンプ」という表現が見られ、ゲーム紹介の他にカードを使用した奇術についても記されていました。

当初は輸入されていましたが、1902年(明治35年)京都で花札を製造していた山内任天堂(現・任天堂)が国産トランプを製造、1953年(昭和28年)には、プラスチック素材を取り入れたトランプを開発・販売し、現在はこのタイプのカードが世界的に主流となっています。

玩具絵、新板西洋かるた
「新板西洋かるた」神田いせ辰版(1890-1910年)出典:artelino-Japanese Prints

現在日本で広く使われているのは、世界標準タイプまたは英米型と言われるもの、A,2~10,J,Q,Kの13枚×ダイヤ、クラブ、ハート、スペードの4種類+ジョーカー1枚からなる53枚一組のカード。
数字的には、A=1、J=11、Q=12、K=13として52枚の数を足すと364になりジョーカー=1として加えると365に、1年365日と重ななりますが単なる偶然だとか。
ちなみに、道化師の絵などが描いてある番外の札、最高の切り札、ババとも呼ばれるジョーカーは、19世紀後半の米国で「ユーカー」というゲームの切り札として誕生しました。また、現在のカードで兵士・召使いを表すカードをジャックと呼ぶのは、ジャックという名が日本でいう太郎などと同じに一般的な名前からきているそうです。

上記が主流ですが、世界では枚数もスート(絵柄)も様々、トランプの歴史の古いイタリアでは40枚、スペインでは48枚(または40枚)、ロシアでは36枚、フィリピンでは112枚というものもあります。
スートで、最も古典的なのが「剣」「カップ」「貨幣」「杖(棍棒)」が描かれたラテン型で、日本に最初に伝えられたのもこのタイプでした。
なお、現在、日本で知られるトランプの絵札に継承されているのは16世紀にパリで誕生したデザインだとか。ちなみにトランプのスペードは剣の変形で軍閥・王侯を、ハートは洋盃で僧職を、ダイヤは貨幣で商人を、クラブは棍棒を農民を象徴しているとのことです。

トランプカードの起源については諸説あり、古代エジプト起源説では古代エジプトの古いカードの形態であるタロットから発生をエジプトに求めた説、インド起源説ではカードと将棋には類似点が多く、将棋がインドで発明されたのはほぼ確実なので、カードもインドで発生したのだとする説、中国起源説では紀元前2世紀から紀元後2世紀の間に細長いカードの初期の形態が作られたと考えられていて、これがシルク・ロードを通じてヨーロッパに伝えられたとする説、ヨーロッパの古いカードと古代中国のカードには類似がみられることから中国起源説が有力とされています。

出典:トランプ(カード)
出典:トランプ
出典:うんすんカルタ
出典:日本かるた文化館

トランプ

トランプは、これ一つで七並べやババ抜きや神経衰弱、大富豪、ポーカーといった様々な遊びが可能で、遊ぶ以外にも、マジックの道具に使われたり、賭け事の道具に使われたり、トランプを立ててタワーを作ったり、投げてキュウリを切ったり(しないかも(汗)など、用途の広い道具です。
休みが長くなるこの時期に、皆でトランプで遊ぶのもよいかもしれません。
自分はポーカーが好きですが、射幸心(偶然の要素により利益を願う気持ち)を刺激する賭博ゲームは、人間の本能に基づいており危険ですので程々がよろしいかも。

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