「目覚まし時計」がないと起きられなくなった⁈
目覚まし時計が発明される以前から人々はちゃんと朝になれば起床していました。
目覚まし時計が鳴らなかったらいつまでも眠ってしまう、という人も少なくないはずの、今や、生きる上で必須ツールの1つになってしまったであろう目覚まし時計。
そんな目覚まし時計が誕生する以前の人々が、どのようにして目覚めていたのでしょうか。
目覚まし時計の歴史
紀元前4世紀のギリシャ哲学者プラトンが、水時計から応用した容器から溢れた水の力で銅の球がたらいに落ちる目覚し時計を発明したといいます。
古代中国では、クギを埋め込んだロウソクに火を灯し、時間が経過するに従って蝋が溶けて中のクギが落下し、落ちる場所に金属製のトレイを設置し大きな音を鳴らすロウソク時計を用いた目覚まし時計が使われていたようです。
また、荷を結わえた縄をロウソクの根元に巻き、ロウソクが燃え尽きる寸前に火が縄を焼きり、その弾みで荷が金属の鉢に落ちて大きな音を鳴らすものもあったそうです。
機械式時計の誕生は13世紀後半のこと、記録が残っているもので最も古い目覚まし時計は、15世紀ドイツで作られた鉄製の柱時計とされています。
15世紀後半にはヨーロッパでゼンマイ(それまでは錘[おもり]を動力としていた)が時計の動力として使われ、携帯できる時計ができます。
時計は、正確に時を刻むために精密な装置を必要としたため、古来より特権階級が持つものでした。目覚まし時計が発明されてからは、目覚まし時計も権威の象徴として扱われるようになり、当時の技術力の粋を集めた高級目覚まし時計を競って時計職人に作らせ所有しました。
ちなみに、機械式時計のことを「クロック」というのは、ラテン語で鐘を“Clocca”というところからきています。
日本では、江戸時代に「線香時計」という、火をつけて横にした線香の上に等間隔で錘(おもり)をつるした糸をかけ、一定時間毎に糸が切れて、錘が金属の盆の上に落ちて時を知らせるというものが、現存しています。
また、寺子屋での授業時間、芸者の仕事時間を、線香の燃える本数で管理し線香が1本燃える時間にばらつきが少なかったことから、何本分働いたかで、給与計算を行ったそうです。
ここから線香代はチップの意味となり、当時の線香代1本の相場は100疋(ひき=10文/現在の価値で約2万円)。また、線香1本が燃焼する時間(約30分間)に一人座敷が務まれば一人前と認められ、ここから“一本立ちする”という言葉が生まれたと云われています。
19世紀末になると富裕層に「タイマー」が出まわり始めましたが、庶民にはまだ高嶺の花でした。その後、1947年にバルカン(現レビュー・トーメン)が世界で初めて小型化したアラーム付きウォッチ「クリケット(コオロギ)」という時計を発売、1950年代になってやっと市民の枕元に置かれるようになったのでした。
そして、デジタル時計が発明されてからはアラーム機能が簡素化されて価格が安くなり、一気に一般に普及していきました。
出典:時計の歴史/SEIKOミュージアム
出典:時計の歴史
睡魔との戦いはまだ続く⁈
最近までは、“叩き起こす”というバイオレンス系の目覚まし時計が主流でしたが、人体の睡眠サイクルや生理機能をうまく利用した光で起こす時計“自然と目が覚めてしまう”「光目覚まし時計」や目覚まし時計にライトやスマホ充電や振動などの機能をプラスしたモノなど、様々なアイテムが数多くリリースされています。
また、ダウンロードする目覚まし時計無料アプリもたくさんあり、活用している方も多いのではないでしょうか。
自分はというと、強制的に起こされる目覚まし時計は嫌いで、補助的には枕元に置きますが、寝る前に頭の中でアナログ時計の起きる時間の針をイメージすると何故か起きることができます。イメージをたまに間違えるけど(汗。なのでインテリアとしてアンティーク目覚まし時計を飾ってあるという感じです。
アンティーク目覚まし時計のレトロな佇まいは、時代を感じさせディスプレイしていてもとても絵になり、コレクションの一つとしてもおすすめです。
しかし、睡眠の時間を削ってテレビやパソコンやスマートフォンなどの画面を見つめて、以前よりも遅くまで起きているようになってしまい人体にとって大事である睡眠の優先順位が下がり、“目覚まし時計を使う以外に起きられる方法がなくなってしまった”という人が多くなった現代、本当に目覚まし時計が人間の生活にとって素晴らしいものであるかどうかは微妙な感じがしました。
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