昭和レトロな玩具・家電・雑誌・家具・建物などなどをご紹介

「オブラート」を包み紙だと思って剥そうとしたのは誰⁈

「オブラート」を包み紙だと思って剥そうとしたのは誰⁈

苦い粉薬を包んで丸めて水で飲み込む、しかしデカすぎて“おぇ”と吐き出した小さい頃の思い出がある、あの不味くて薄い半透明の円形オブラート。
オブラートは薬を飲むのに使われる他、下記のような懐かしい餅菓子や飴菓子などをくるんで互いが付かないように利用されていて、こちらを目にすることが多いかもしれません。
もしかして今やオブラートと言っても知らない人が多いかもしれない、昭和生まれなら知っていると思うオブラートについて調べてみました。

ボンタン飴
ボンタン飴。出典:画像

鹿児島製菓(現・セイカ食品)が1924年(大正14年)に和製キャラメル菓子として発売した「ボンタン飴」は、餅に水飴を練り込み鹿児島県産ボンタンを添加し、オブラートで包んだ求肥飴とのこと。

日本一きびだんご
日本一きびだんご。出典:画像

北海道の谷田製菓が販売する、細長い板状に伸したもっちりした餅をオブラートでくるんだ駄菓子の「日本一きびだんご」は、“起備団合”の名称で1923年(大正12年)に発売しています。

2000年代に入ると、オブラートを知らない人も増え、包み紙だと思って剥がして食べようとする例も後を絶たないので、“そのまま食べられます”といった説明書きが表記されるようになった商品もあるようです。かくいう自分も薬のイメージがあるオブラートが嫌いで出来るだけ剥がして食べていましたが(汗。

オブラートとは、デンプン質にゼラチンを混ぜてつくる薄い半透明な紙状のもので、水分によって容易に溶けやすく、“食べられる紙・eatable paper”とも呼ばれています。
今のようにカプセルが普及する前は、苦い粉薬をこれに包んで閉じ口に少し水を付けて飲んでいました。
なお、薬用に使うオブラートの厚さは0.01~0.015mmで、食用のオブラートは0.03~0.04mmが一般的です。

語源は、ラテン語のoblatus(円面の)からきていて、始まりは古く(正確な年代は不明)ドイツでキリスト教の祭壇に供える聖なるOblate(ウェファーに似た小型のパン、別名を聖餅)に散薬を包んで内服したのが最初とされます。

こうしたオブラートは19世紀後半(明治初期)になって日本に伝わりましたが、その頃は硬質オブラート(せんべいオブラートとも言われた)で、水の入った小皿に浮かべて柔らかくしたあと薬を包んで水と一緒に飲んだようです。
しかし、使いずらさと高価な輸入品ということもあって庶民には手の届かない品物でした。

小林柔軟オブラート
1926年(昭和2年)の小林柔軟オブラート。1922年(大正11年)に掲載された小林柔軟オブラート製造所の広告。出典:三重の歴史がよみがえる。歴史の情報蔵

薄く柔らかいものになったのは、1902年(明治35年)三重県の医師・小林政太郎氏が、正月に寒天料理を作っていた際に、たまたま熱い鉄瓶に流れ落ちて薄い紙片状になって固まった所をヒントに寒天とデンプンを用いて生成する方法を発明し、現在使われているオブラートの原形を作り上げ商品化へと成功してからです。
この柔らかいオブラートは「柔軟オブラート」と呼ばれ、日本のほかイギリス・アメリカ・ドイツ・フランスで特許をとり、1910年(明治43年)の日英博覧会で金牌を受賞したこともあって、世界中に広まっていきました。

1920-30年代オブラート
高野盛大堂の鶴印柔軟オブラート、藤井太陽堂の小槌印(硬質)オブラート(1920-30年代)出典:Flickr

戦後は薬用に使われるよりもお菓子、水飴を原料にした飴やゼリー、キャラメルなどの包装に多く使われていましたが、包装技術の進歩によりお菓子の包装としてのオブラートはめっきり使われなくなりました(一部のお菓子には採用されています)。 また、薬の分野でも製薬技術の進歩により顆粒剤やカプセル製剤が普及した結果、全盛期の1950年頃には全国に100カ所以上もあったオブラート工場が現在では5カ所になってしまったとのことです。

需要は減ったものの、服用を楽にする用途として現在も使われ、基本の丸型のほか、様々な味をつけたオブラートや薬を入れやすくした袋や三角形タイプ、カップ状の物も存在し、また本来のオブラートとは異なるものの嚥下困難な高齢者や薬の嫌いな乳幼児への利便性を考えた液体オブラートなどにも発展しています。

他にも、ちょっと変わった使われ方として、油には溶けないという性質から可食性のインクを使ったペンで、文字やイラストを描いてお弁当などの具材にシールのように貼ってキャラ弁にしたり、水溶きが要らない片栗粉として粉オブラートもあり、料理の材料として注目を集めています。なお、この粉オブラートは協和食品工業株式会社サイトに料理やデザートの作り方を掲載しています。

無味無臭なので食べ物の味を損なわず一緒に食べられるので捨てる必要がないという環境にやさしい素材のオブラート、まだまだ活用の場を広げていきそうですね。

オブラートと粉薬
オブラートと粉薬。出典:画像

また、「オブラート」のイメージによく使われる表現に「オブラートに包む」という慣用句があります。
これは、苦い粉薬をオブラートで包んで飲みやすくするように、相手を刺激する直接的な表現を避け、やんわりとしたり遠回しな言い方に換えるという意味(物事をあいまいにする場合の表現)ですが、例えば、真剣な交際を求める相手を断る場合、「格好がダサすぎ」とは言わず「趣味が合わない」、「キモい」とは言わず「私にはもったいない」、「ウザい」とは言わず「性格の不一致」といった調子…(笑。
ただし最近は、苦い薬はカプセルに入っていたりして、“オブラートで包んで飲む”という行為が過去のものになろうとしているので、この言い方そのものがオブラートのような薄い膜で包んだ意味のよくわからない言葉になってしまっている感は否めないかも(汗。

出典:意外と知らないオブラートの歴史
出典:昔はこんな薬もありました23
出典:国光オブラート株式会社
出典:オブラート
出典:日本語を味わう辞典

テキストのコピーはできません。