根強い人気がある不二家「ペコちゃん」
ペロっと舌を出したぷっくりほっぺたの顔立ちも愛くるしいキャラクター、不二家の「ペコちゃん」。
不二家のキャラクター「ペコちゃん」が登場したのが1950年、来年で70年になります。
誰もが知っていて、根強い人気がある「ペコちゃん」、秘密は何でしょうか。
「ペコちゃん」の豆知識
ペコちゃんの原形は、1950年(昭和25年)ごろのアメリカ雑誌に載っていた広告の女の子の絵をマンガ風にデフォルメし、張りぼての人形に造り上げて銀座6丁目の店頭に設置されたのが最初だそうです。
店頭人形は日劇の大道具さんが作ったそうですが、当時のカルチャー情報誌「ARS GRAPH GINZA」では、この人形について“何とも云えないアンニュイ(倦怠的)な、しかも誰もが一辺殴らずにはいられない人形”と、かなり辛辣に書かれていたという。
まだまだ当時は、戦後の貧困状態から完全には抜けきれていない時、何かおどけた表情のペコちゃんは、受け入れがたい時代だったのでしょう。
1960年頃からは、張りぼての紙製からプラスチック製の人形が店頭に置かれるようになりました。
そして、1951年に“母親が安心して幼児に与えられるお菓子”を原点とし、北海道産の牛乳を使ったミルク味のソフトキャンディに“ミルキーはママの味”というキャッチフレーズと、パッケージに大きくプリントされたペコちゃんの絵が特徴の「ミルキー」が発売されました。
その後、「ミルキー」の商品キャラクターとして誕生したペコちゃんは、後に「不二家」の各店舗には“ペコちゃん人形”が置かれるなど、「不二家」を代表するマスコットキャラクターへと進化しました。
当初は「ジョッキー」という商品名でしたが、口に入れた瞬間にミルクの味が広がることや練乳を使用していることから「ミルキー」と名前を変更して売り出したそうです。
「ジョッキー」のままでしたら、ここまで売れなかっただろうと思われます。
1950年代から1960年代は大箱入りのものはペコちゃんの目の部分が樹脂製カバーで作られ、黒目が箱とともに動くパッケージ、1970年代に入ると目は印刷になります。
ペコちゃんの名前の由来は子牛を意味する「べこ」を西洋風にアレンジして「ペコ」と名付け、彼氏のポコちゃんは室町時代の子供のことを「ぼこ」と呼ぶことから、こちらも西洋風にアレンジして「ポコ」になりました。
また年齢は1958年に「ペコちゃんの年はいくつ?」というキャンペーンを実施してますが、その時に一番多かった回答が6歳だった事でペコちゃんは永遠の6歳となり、ボーイフレンドのポコちゃんはひとつ年上の7歳に設定されたそうです。
1970年代まではデザインに差異があったペコちゃん、1980年代にはルールブック「ペコマニュアル」ができ、デザインが画一化されました。
出典:不二家ペコちゃんの歴史
「ペコちゃん」の人気はどこから?
ペコちゃんが舌を出しているのは、子どものかわいらしさを表すためとか、おいしいお菓子を食べているからなど、諸説ありますが、本来でしたら舌を出して食べ物をすくうようにして食べるのは決して上品ではないはず。
やはり戦後の復興期、日本の食文化の否定やアメリカへの憧憬があり、ぺろりと出した舌のインパクトがあるキャラクターを作ったのではないかと感じました。
(アメリカの「バーズアイ」というオレンジジュースのブランド「メリー」という女の子のキャラクターが、舌を出していて酷似しています)
そして、当時にはなかった、ぷっくりしたほっぺたの顔立ちにちょこっと出た舌、大きな目の配置が幼児を連想させ可愛く感じる絶妙なバランスの顔、身長も100cmと抱きつきやすい体型、ブランド力を決定づけたストレートな表現のキャッチコピー“ミルキーはママの味”で、子どもから大人まで愛されるキャラクターになったと推測されます。
ちなみに、不二家のロゴマーク“ F ”や1962年に発売された「LOOK(ア・ラ・モード)」のパッケージは、パリ出身の有名なデザイナー“レイモンド・ローウィ”によって制作されました。
「美しくシンプルなデザインは長持ちする」というローウィの哲学通り、現代においても古さを感じさせない秀逸なデザイン、ですね。
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