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光や風に表情を与える小さな窓「欄間」 

光や風に表情を与える小さな窓「欄間」 

欄間(らんま)は、天井付近にある開口部や建具のこと。部屋への出入りをする襖や障子の上にある、もう一つの小さな窓といったところでしょうか。
和風住宅はもちろん、最近は古民家をリノベーションした和モダンな旅館やカフェなどでも見かけますが、一周まわっておしゃれな和風建具になっているそうです。
そんな“らんま1/2(好きだけど)”ではなく「欄間」についてのお話です。

欄間とは、歴史など

欄間、蜀江文様

日本最古の建築物・法隆寺(607年/飛鳥時代)には、蜀江文様(しょっこうもんよう/八角形と四角形をつないだ文様)と呼ばれる組子欄間が見られので、この頃から寺社建築に採光や装飾を目的として取り入れられたのではないかと思われます。
奈良時代の寺社建築には既に欄間がすでに使われ、平安時代の書物にも欄間の表記が見受けられます。

最初の目的としては、寺社建築などにおいて採光などを確保する目的があったようですが、欄間は、部屋への採光であったり、風通し、装飾という部分からの目的から設置されています。

さらに欄間は貴族の住宅にも使われるようになり、和風建築には欠かせない存在感を示すようになっていきました。

平安時代も中~後期になると、菱形に木を組みつけた菱欄間(文様の原点である“菱形”の「菱組子」は水辺で育つヒシの葉の形で、子孫繁栄や無病息災の願いが込められていて、花狭間[はなはざま]又は花欄間とも呼ばれます)、室町時代以降には武家屋敷を中心に広まった欄間に彫刻をほどこした欄間彫刻、江戸時代には、絢爛豪華な元禄文化とともに発達します。

欄間は当初、お寺や特権階級の屋敷に限られており、装飾という用途以外に権威の象徴のために造られたものでした。これが江戸時代以降になると、徐々に一般住宅へ普及していきました。

欄間
組格子の中に透かし彫り板を組み合わせた欄間

主な欄間の種類

彫刻欄間
天然木の木目を生かし細かな技巧がほどこされた彫刻仕様で、絵柄には日本の伝統的な縁起物、松竹梅や松、鶴さらに富士山や日本三景などが多く用いられています。
透かし彫り欄間
「透かし欄間・切り抜き欄間・板欄間」ともいいます。杉や桐など薄いタイプの木に、動植物や風景などの絵を描き、その部分を切り抜く工法です。
筬(おさ)欄間
竹を櫛の歯のように並べて模様を描きます。絵柄や形は、それぞれ凝った組子細工や千本格子模様があります。筬(おさ)というのは、機織りの道具のことだそう。
組子欄間
クギなどの金物を使わず、細い木を一本一本削り出し、穴やホゾ・溝などの加工をして組み合わせて作られた模様の欄間です。
竹組子欄間
竹を藤つるで編んだり、自然材を生かし工夫を凝らして色々なデザインを取り入れ造った欄間です。
障子欄間
開口が自在な引き違い障子を取り付けた欄間です。ふすまのような仕様になっているものもあります。
壁抜き欄間
壁をくり抜き、左官仕上げを施した欄間で、くり抜いた部分はあえて下地を見せたり、竹などを組み込んで模様を描いたり自由度の高い欄間です。
ガラスを使った欄間
大正ロマンや昭和初期風の建築に多いのがガラスをはめ込んだ欄間です。障子欄間のように引き違い戸にしたり、ステンドガラスを用いてモダンにしたり、ガラスに模様を刻んだりなど加工次第でさまざまな表現ができます。

欄間
彫刻欄間、透かし彫り欄間、筬(おさ)欄間、組子欄間
欄間
江戸東京たてもの園・高橋是清 邸の回廊上部の明り取り欄間 出典:Flickr

場所による呼び名

間越(まごし)欄間
和室同士の区切りに設けられ、換気を目的にしたものは間越欄間と呼ばれています。
明り取り欄間(明かり欄間)
部屋と外、縁側との間に設けられた欄間で、室内へ光を採り込む役割を担っています。
書院欄間
掛け軸や美術品をかざる床の間の横、外との境目にすえつける欄間です。

出典:欄間とは?
出典:和室欄間、座敷欄間、書院欄間、欄間の種類
出典:和室を構成する名称

欄間
壁抜き欄間、書院欄間

最後に

光や風に表情を与え、家じゅうにめぐらせる仕組みの“欄間”、美しい木目を利用したこまやかな細工など、時代の風格が漂っています。そこには和のインテリアに調和しながら日本の住宅で快適に過ごすための機能性と装飾性の両方で、日本人の暮らしに寄り添ってきました。

住宅様式が洋風に変化をとげた現在、欄間を用いる住宅は減ってきていますが、凝ったデザインの職人技が美しい欄間は、そのまま飾るだけでも素敵で風情のあるインテリアになります。古材を扱うインテリアショップや古材専門店で、好みのデザインを探すのも楽しいそうです。
また、漏れる光が美しい組子の技術を施した小型の灯り・組子と和紙を組み合わせた優しい灯りや組子のミニ衝立など、さり気なく欄間っぽいインテリアを取り入れて、その魅力を再確認してみるのよいかもしれませんね。

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