70年代の「アニメ」は夢があってエキセントリック!
1970年代といえば、今なお語り継がれる名作アニメが目白押し、当時を知る人にとっては懐かしいと思える作品ばかりです。
ということで、70年代のテレビアニメの代表的な作品を羅列してみました。
熱血ヒーローと言えば、原作:高森朝雄、漫画:ちばてつや、の「あしたのジョー」。なんと、昭和45年2月に前代未聞のまんがキャラクター力石徹の本格的な葬儀が寺山修二のアイデアにより講談社で執り行われ、マスコミも驚き呆れながら、こぞって取り上げたこの出来事。“700人余りのファンが叫んで騒いで楽しんだ”というから社会に与えたインパクトは大きかったとか。
1970年に流行った他のアニメは「キックの鬼」「いなかっぺ大将」「のらくろ」など。
1971年に流行った他のアニメは「国松さまのお通りだい」「天才バカボン」「ルパン三世(第1作)」など。
ルパン三世の詳しい記事はこちら→世間を楽しませているエンターティナー「ルパン三世」
国内では最高視聴率が30%を超えるなど歴史的なヒットとなり、海外でもヨーロッパなどで人気を博しました(スペインでは視聴率70%を記録したとか)。鉄人28号と並んで、巨大ロボットものの元祖的存在で根強い人気があります。
当初はギャグ作品として企画されていたらしく、そのため「ガチャガチャしているからガッチャマン」というタイトルでしたが、ふたを開けたらシリアスな作品になったようです。オープニングで流れる歌は第22話までEDで流れる曲でした。
この設定は手塚治虫氏に“あなたは大変な発明をしましたね。私も色々のキャラクターを作ったが、平面ガエルだけは思いつかなかった。これからも一生ピョン吉を大切にしてあげて下さい”というすごいお墨付きをもらっています。
漫画版のデビルマンが「人間の弱さや醜さ、潜在的な悪」を描いたのに対し、アニメ版は「それらを超え、悪魔をも変える人間の愛」を描いていたのかもしれません。しかし、勧善懲悪に終わらない一種毒のあるストーリーも多々存在します。
1972年に流行った他のアニメは「正義を愛する者 月光仮面」「赤胴鈴之助」など。
それまで日本の漫画界では見られなかった“超能力”を主題にしたエポックメイキングな作品で、その後も続く“超能力もの”の礎を築き上げました。
スポ根漫画の代表格の1つで、現役時代の松岡修造氏が試合のたびに必ずコミックスを持参したほどのバイブルとしても知られていて、テニスブームも起きました。
インパクト抜群のOPテーマ、健全かつ過激なお色気シーン、バラエティーに富むハニーの七変化などから大ヒットを記録しました。ハニーの服が破けて一旦全裸となる変身シーンは、後の変身ヒロインの変身シーンに多大な影響を与えた様子。
1973年に流行った他のアニメは「ドラえもん」「ミクロイドS」「侍ジャイアンツ」「ドロロンえん魔くん」「新造人間キャシャーン」など。
海外のマンガ家のはなしでも、いちばん気をつけるのは政治よりも宗教なのだとか。「ハイジ」の深層に流れているものはキリスト教思想、それをハイジの気持のなかの拠り所(心のふるさと)をおじいさんと小屋のうしろにある三本のモミの木にすり替えたそうです。
第二次世界大戦で海に沈んだ戦艦大和を宇宙船に改造するという発想、“人類滅亡まであと1年”という設定が当時の公害問題などもありとても印象的でした。また波動エンジンを使ったワープ航法の“ワープ”という言葉が定着したのは「宇宙戦艦ヤマト」の影響でしょうか。
1974年に流行った他のアニメは「魔女っ子メグちゃん」「ゲッターロボ」「グレートマジンガー」「はじめ人間ギャートルズ」「カリメロ」など。
規制が強化された現在では地上波で放映出来ない描写・言葉を含む映像も多数あり、しかし一方でその教育的効果の高さから放送再開を望む声も多いです。知ることは大事ですよね。
舞台はベルギーで現地では無名の作品。アニメ放送後、ベルギーで日本人観光客が急増し、いわゆるサブカルチャーにおける聖地巡礼の先駆だったようです。
1975年に流行った他のアニメは「タイムボカン」「UFOロボ グレンダイザー」「一休さん」など。
正式なタイトル表記は「キャンディ♥キャンディ(間にハートマークが入る)」、女児を中心に社会現象となり、その後、世界中でヒットしました。しかしキャラクタービジネスを巡るトラブルにより2001年11月以降、原作は絶版、アニメ版も再版・再放送ができない状態になっています。
ドカベン→大甲子園→ドカベンプロ野球編→ドカベンスーパースターズ編→ドカベンドリームトーナメント編と最終巻までで単行本合計数205巻、2018年6月28日シリーズ完結。述べ46年に及ぶ連載が終了し、シリーズ累計としては日本で最も巻数の多い作品となっています。
1976年に流行った他のアニメは「母をたずねて三千里」など。
ルパン三世は、“初の大人向けアニメを作ろう”という発案の下、高校生以上の高年齢の視聴層をターゲットとして第1シリーズは制作されましたが視聴率で大苦戦、しかし、5年間も続けた再放送で人気が高まって第2シリーズへ繋がっていきました。全155話とアニメシリーズで最も長かったとか。おそらく最も好きなアニメですね。
1977年に流行った他のアニメは「あらいぐまラスカル」「一発貫太くん」など。
大正時代に生きた「はいからさん」花村紅緒という一人の女性の奮闘を、彼女が生きる時代背景と共におもしろおかしく描いたラブコメディ。
機械の体となった人間が世界を支配し、生身のままの人間は虫けら同然の扱いを受ける未来の地球を舞台として、物語は始まります。
1978年に流行った他のアニメは「未来少年コナン」「科学忍者隊ガッチャマンⅡ」など。
当初は“主人公の少年少女達が宇宙空母ペガサスに乗り宇宙戦闘機で異星人と戦う”という設定でロボットは登場しない予定でいたが、スポンサーから要請されたため登場が決まったとか。
これさえ読んどけばフランス革命史はだいたいわかる、とまで言われていますが、一部描写に史実的誤りがあるようです。実は少女漫画で明確なベッドシーンをやった初めての作品。
1979年に流行った他のアニメは「ゼンダマン」「花の子ルンルン」など。
出典:日本のテレビアニメ作品一覧 (1970年代)
出典:ピクシブ百科
出典:1970年代 名作アニメ
1970年代のテレビアニメの特徴としては、アニメ成長期だったようです。
この時代の作品は、『週刊少年マガジン』『週刊少年サンデー』などの少年漫画雑誌に加え、『週刊少女コミック』『週刊マーガレット』などの少女漫画雑誌、さらに『小学一年生』などの学年別学習雑誌や児童文学など、その原作は少年少女向けの様々なものへ多様化が始まった時でした。
児童文学の名作を原作とした作品を1年間にわたり放映する「世界名作劇場」や日本の各地に伝わる昔話や民話をアニメ化した「まんが日本昔ばなし」などや、漫画を原作としないオリジナルアニメ作品、加えてロボットアニメと呼ばれるジャンルの始まりといわれる「ゲッターロボ」が1974年に放映され、以降のアニメジャンルで重要な位置づけとなるアニメ作品が生まれ始めたのもこの時期です。
なお、放映時間は、19時台が全体の75%を占め、17時台から19時台で95%でした。『週刊少年マガジン』などの少年漫画雑誌を原作とする作品のうち、「デビルマン」「野球狂の詩」など 4作品が20時台に放映されています。以後、午前や深夜の時間帯が増えていきました。
また、近年海外ビジネスの急成長が目立つ日本アニメですが、海外進出の歴史はかなり古く1960年代には早くもTVアニメ草創期の『鉄腕アトム(Astro Boy)』が全米放送され人気を博していました。ヨーロッパでも、1970年代~80年代に日本アニメが大量に放送されますが、この時代に世界で大量にアニメーション制作をしていたのは米国と日本のみだったようです。
このように、日本アニメはかなり昔からグローバルでしたが、販売価格が安かった事情もあったようです。
時代を経て再放送された際に改めてその面白さを認識したり、これを機会に子ども時代に好きだった主題歌を歌ってみたり、また、理解できなかった物語の奥深さを振り返ると記憶がよみがえって新たな発見があるかもしれませんね。
-
前の記事
何気ないコミュニケーションがあった「商店街」 2021.01.10
-
次の記事
「ブランコ」で元気に遊ぶ子どもたちの姿は見られなくなる!? 2021.01.20