昭和レトロな玩具・家電・雑誌・家具・建物などなどをご紹介

人を笑顔にする効果がある飴「ドロップ」

人を笑顔にする効果がある飴「ドロップ」

缶についている丸いふたを開け、カラカラと振ってドロップを手のひらに取り出す。“オレンジが欲しかったけど白いハッカが出てきた”とか“食べ終わった空き缶を宝物にしていた”などの思い出がある甘くてフルーツの味がする飴(あめ)玉、ドロップ。
子どもの頃味わい、今でもスーパーなどの棚に並んでると“なつかしい”と思うお菓子と言えば、サクマのドロップです。
発音が楽なせいか「飴」と呼ぶのが一般的ですが、「ドロップ」も広くなじみのある単語です。なので、どのような違いがあるのか探ってみました。

ドロップ、飴、キャンディとは

砂糖や水飴を主原料とし煮詰めた後に冷し固めた西洋菓子の総称が「キャンディ(candy)」と呼び、日本では「飴(あめ)」、ドロップはキャンディの一種なんだとか。
キャンディには“ハードキャンディ”と“ソフトキャンディ”の二種類があり、下記のような特徴があります。


ハードキャンディソフトキャンディ
特徴高温で加熱して硬く仕上げたもの低温で加熱して柔らかく仕上げたもの
種類ドロップ、タフィ、バタースコッチなどキャラメル、ヌガー、マシュマロなど

日本では、固形の飴を固飴(かたあめ)、粘液状の飴を水飴(みずあめ)と呼び分けています。一括りに全て「飴」ですね。

飴の歴史

日本の飴の歴史は古代にまで遡り、「日本書記(720年)」にそのような記述があるので、すでに飴が存在していたことになります。当時の飴は、神前に供える飲食物の甘味料として、貴重なものだったようです。ちなみに、飴の語源は、「あま味」や「あま水」など、甘いという言葉から来ているそうです。

平安時代になると、京都に“飴屋”ができ、お米を原料として作られる甘い“水飴”をお菓子として市販されるようになります。室町時代には“飴売り行商”も誕生し、糖粽(あめちまき・とうそう/飴色をした餅米のちまき)や地黄煎(ぢおうせん/地黄の根や茎の生薬を加えた飴=胃腸薬だったらしい)などの飴が売られていたとか。

江戸時代になると、麦芽を用いた飴が多く作られるようになります。固形の飴が作られるようになるのも、飴細工が始まったのもこの頃。高級品であった砂糖が一般に手に入るようになって、水飴にこれらを加えた様々な加工飴が製造されるようになり庶民に広く愛される食べ物になりました。縁日などで売られるようになると、全国的にお菓子として定着し、子供たちの人気を集め、べっ甲飴や黒飴など飴のバリエーションも一気に増えたそうです。

明治時代に入ると、外国からキャンディが伝わり、様々な種類のキャンディが入ってくるようになりました。新しい味覚、センスを目の当たりにし、日本の飴の製造方法が大きく変わっていったといわれています。
その後、時代とともに新しい種類を増やしてきたキャンディ(飴菓子)は画期的な進歩発展を遂げ、その品質・技術ともに国際的に高く評価されています。

ドロップス
森永MORINAGASチョコレートドロップスとフルーツドロップス缶、サクマ製菓の映写機型サクマドロップス
ドロップス
1988年(昭和63年)「火垂るの墓」とコラボのサクマ式ドロップス復刻版、トキワヤのドロップス トキワヤ製菓

出典:キャンディ 
出典:
出典:飴/コトバンク

サクマのドロップは2種類

小さいころから何気なく口にしていたサクマのドロップ、実は会社名が違う2社が出していました。
一つは、東京都豊島区「佐久間製菓」の“サクマ式ドロップス”、もう一つは、東京都目黒区「サクマ製菓」の“サクマドロップス”です。

もとは、1908年(明治41年)に「佐久間惣次郎商店(後の佐久間製菓株式會社)」が「サクマ式ドロップス」を発売していたものが元祖なのですが、戦争により砂糖の供給が止まると会社が廃業してしまいました。

ドロップス

戦後、同社で番頭の立場にあった人物が豊島区池袋にて「佐久間製菓」を興し、赤色の缶などにマークは菱形にヨットの絵が描かれている“サクマ式ドロップスを、また、同社の1937年から社長だった人物の三男が渋谷区恵比寿(後に目黒区へ移転)にて「サクマ製菓」を興し、緑色の缶などにマークは王冠とヨットの絵が描かれている“サクマドロップス”を発売します。

その商標に関しては当然裁判にも発展したわけですが、上記のように住み分けをして、両者同じような飴を販売しています。

ということになっていますが、記憶の中で“サクマのドロップ”というとどっちのことかと問われれば、どっちも同じ、あるいは別に区別はしていなかった、というのが正直なところでしょう。
出典:サクマ式ドロップス

最後に

日常会話のなかで“ドロップ”を使うと、懐かしくも新鮮な気分になるかもしれないし、人を笑顔にするような気がします。
神武天皇が、“水飴を皆に振舞えば武力を用いずに天下を治めることができるだろう(日本書紀・神武紀)”と言われたように、甘いものには人を笑顔にし平和にする効果があるかもしれません。それはきっと世界共通で、不安な時には心を癒し、感情が高ぶった時には心を鎮め、人にあげれば喜ばれる、飴にはそんなやさしい魅力がありますよね。

また、キャンディ(飴)は非常食として優れているのだとか。主成分が砂糖で水分も少く腐りにくい食品なので賞味期限も長く、小さいので保管場所を取らないことと、カロリーと糖質が高く素早くエネルギー補給でき、疲労回復にもよいそうです。
水など無くても、どこにいても、動きながらでも食べることが出来るので、非常用保存食としておすすめです。

テキストのコピーはできません。