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「スカーレットちゃん」から見るファッションドール

「スカーレットちゃん」から見るファッションドール

昔は、女の子の人形遊びといえばミルク飲み人形などお世話をしてあげるものが主流でしたが、1959年にアメリカで生まれた「バービー」は着せ替えなどオシャレを楽しむファッションドールとして日本でも人気を集めました。
そんな中、日本で初めて企画制作され国産ファッションドールとしてヒットしたのが、1966年に中嶋製作所から発売された「スカーレットちゃん」です。
当時の記事によると、「スカーレット」という名前は“週刊マーガレット誌上の公募懸賞”で決定したそうです。
そして、翌年の1967年にはタカラから「リカちゃん」が発売されます。

スカーレットちゃん人形
“夢見るファッションドール”というキャッチフレーズがある、おすまし顔のサイドグランス・アイ(横目)が愛らしい「スカーレットちゃん」と1967年トイジャーナルの雑誌

ファッションドールとは

ドレスやアクセサリー、小物にいたるまでの着せ替え衣装をもった人形たちのことを指します。
それまでのベビードールや抱き人形と一線を画し、年齢はハイティーンにキャラクター設定されています。
現在は、子ども向けだけではなく、大人のアイテムとしてコレクションや手作りドレスなど細分化され広く受け入れられているそうです。

人形のちょっと歴史

人形とは人間の姿に似せて作られた“可愛がるためのおもちゃ”で、その起源は紀元前2000年頃のエジプト王朝まで遡るそうです。

最初は信仰の対象でしたが、平安時代に入ると貴族階級の間で「ひいな」という子ども用の人形ができ、これらが江戸時代に「雛人形」として発達しました。

“にんぎょう”という言葉は江戸時代から用いられるようになりました。
商業の発達とともに需要も高まり、製作技法もめざましく向上し、精巧、優美な日本人形独特の作品が多く作られました。

明治時代以後には西洋風の人形が主流となり、大正から昭和期にかけてはセルロイド人形や縫いぐるみの人形が流行しました。

戦後になると、1954年はマスダヤの小鳩くるみちゃんミルクのみ人形、1957年にはマスダヤの髪結い遊びのカール人形が登場。
1960年代に入るとビニール製のダッコちゃん人形、1962年にアメリカ・マテル社のポニーテール・バービー人形が日本でも発売されます。

1960年代後半になると純国産のファッションドールが作られるようになり、1966年に日本で初のファッションドールである「スカーレットちゃん」が中嶋製作所より発売、1967年にはタカラから「リカちゃん」が発売、 同年「ツイスト・バービー」も日本で発売されファッションドールは日本でも人気商品になりました。
その後ソフトビニール製の着せ替えファッション人形などが次々と登場します。

スカーレットちゃん人形
スカーレットちゃん人形
1966年に中嶋製作所から発売されたスカーレットちゃん人形の洋服や靴

そして今は、様々なアクションを加えたものや、色々なタイプの人形が出回っていて、子どもに限らず大人にも幅広く親しまれています。
出典:一般財団法人 日本玩具文化財団

ちなみに、「バービー」の生産は1962年から1970年代初頭まで日本で行われていました。そして、日本はかつて玩具輸出量世界一だったという歴史もあります。
当時は人件費も安く、資源の少ない日本の輸出品目で、おもちゃのような手工芸品が大事になるのもうなずけますね。

余談ですが、「リカちゃん」が発売されると日本国内で爆発的にヒットし、アメリカ風の顔立ちであったバービーは伸び悩むことになります。そこで、アメリカ・マテル社はタカラにライセンスを提供し、日本向けのバービーの生産を持ちかけます。これが「タカラバービー」と呼ばれるシリーズで、1982年からライセンスが解消される1986年まで生産されました。ライセンスが切れた後「タカラバービー」は「ジェニー」と名前を替え今でも生産されています。

人形に対する日本人独自の感性

節句人形(ひなまつりや端午の節句)にもあるように、日本人には人形に対する独特の感性があるように思います。
全国各地の社寺で行われる「人形供養」です。由緒のある昔の人形から最近のぬいぐるみまで様々な人形が、感謝の気持ちに見送られて手厚くまつられた後、燃やされるなどして処理されて行きます。(こうした儀式は、外国の人々にとっては理解しがたいと言われることもあるようです)
これは、人形は単なる飾り物や遊び道具ではなく、つねに心や命あるものとして扱われてきた、日本ならではのもののようです。

やはり、長年飾ってある人形や愛着のある人形・遊んだ人形は、むやみに捨てられないですよね。
自分もいずれ、スカーレットちゃんを供養に出したいと思います。

★yuzuさんのコレクション★

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