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ソーイングマシンの「ミシン」

ソーイングマシンの「ミシン」

昔おばあちゃんが使っていた「足踏みミシン」、とても使いやすかったことを覚えています。
直線縫いだけしか出来ないタイプで、踏む速度でスピードをいくらでも調節できたので、怖いなと思ったらそれこそ超スロウで踏んだものです。
単純ながら、しっかりとした作りで丈夫、鉄製なので重量もかなりものでした。
そんなミシンについての話です。

「ミシン」の歴史

1589年、イギリスのウイリアム・リーが妻の毛糸を編むのをみて、機械編みを考えたのがミシンの研究の始まりです。
現在とほぼ同じ構造(本縫いミシンの基、一本針・一本糸のミシンの原型)のミシンを発明したのは、1850年アメリカのアイザック・メリット・シンガーでした。翌年、特許をとり後のシンガー社になる会社を立ち上げます。

日本へは、1854年(安政元年)2度目の黒船来航時、幕府(第13代将軍、徳川家定)への献上品の中にミシンがありました。なお、ミシンを初めて使用したのは、家定の御台様「天璋院敬子(てんしょういんすみこ、通称:篤姫)」ではないかと言われています。
また、1860年(万延元年)遣米使節団に同行した通訳:中浜万次郎(ジョン万次郎)が土産として写真機と手回しミシンを持ち帰っています。

ちなみに、「ミシン」と読んでいるのはどうやら日本だけのようです。英語のソーイングマシン(sewing machine=縫う機械)の“マシン”の発音を「ミシン」と聞き取った(聞き間違えた)のが語源だそうです。

アンティークミシン

明治になり普及し始めますが、まだ輸入でした。「ミシン」という名称もこの頃から使われるようになります。
1881年(明治14年)東京で開かれた第2回内国勧業博覧会に国産ミシン第1号が展示され、国産ミシン製造の量産は1921年(大正10年)に創業したパイン裁縫機械製作所によって始めらました。
ミシンの修理で生計を立てていた安井正義、実一兄弟(ブラザー工業の創始者)が、1928年(昭和3年)に「麦わら帽子製造用環縫ミシン」の製造を手がけ、1932年に「家庭用ミシン」を誕生させました。このミシンは性能が良く全く壊れないと大評判となりました。
戦争が始まると家庭用ミシンの製造は禁止されますが、1945年に終戦を迎えると、繊維製品が日本の主な輸出品になったことでミシンの需要が増大します。
1947年(昭和22年)家庭用ミシンの規格が統一されると、国内販売分だけでなくミシンそのものも重要な日本の輸出品となっていきました。
工業用ミシンのほか家庭用ミシンも多く作られましたが、理由として、当時の多くの既婚女性は家庭外での労働をしなかったため、内職で副収入を得られるミシンが嫁入り道具として使われたことが大きかったそうです。

アンティークミシン、ブラザー

現在は、1970年あたりから家庭用ミシン工場を海外に移転してしまったため、高級機種等を除きほとんど製造されていないという。
出典:ミシン
出典:ミシンの伝来

「足踏みミシン」をインテリアに

アンティークミシンといわれる「足踏みミシン」、実際のミシンとして実用される事こそ減りましたが、天板を付け替え“台”としてリメイクされたものが広まっています。
「足踏みミシン」といえば、何と言っても特徴的な“脚”ですよね。アイアン素材であることは共通していますが、メーカーや年代によってデザインは異なり、曲線のフォルムが美しい網目タイプや直線的なフォルムを基調としたストレートタイプなどあります。
ネットショップやオークション、アンティークショップで、オシャレなリメイク品や自分でDIYする事も可能な脚だけを売っているところもあり、デスクやテーブルや作業台そしてコンソールテーブルとして、アンティークスタイルのお部屋を作り上げていくのも楽しそうです。
また、ミシンとして実用してもしなくても出して置いておくだけでも絵になり、そのどこかレトロなコーナーで温かみや懐かしさを感じるお部屋ができそうです。

アンティークミシン、シンガー

最後に

趣味の洋裁から、入園入学準備用品作り、裾上げなどの洋服リフォームまで、大活躍してくれるミシン。もちろん自分も洋裁が好きなので使っています。
足踏みミシンといえば、小さい頃おばあちゃんの見よう見まねでカタカタと遊んでいて、指を刺してしまった記憶があり、強烈に覚えてます。しかし、いつの間にか無くなってしまって残念で仕方ありません。デンっと存在感があり、いつもそこにあるからすぐミシン掛けができ、簡単操作で、考えてみるとエコでよかったのですが。
なのでミシンと言えば直線縫いだけでした。その後ジグザグ縫いのできるものができ、今では刺しゅうができるのは当然、パソコンと連動するものまでできています。中でも、自分でデザインしたイラストを取り込みができ刺繍ができる、簡単操作のコンピューターミシンが人気だそうです。

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