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「よいこのおどうぐばこ」は大工道具箱から始まった⁈

「よいこのおどうぐばこ」は大工道具箱から始まった⁈

道具箱とは、道具一式を入れておく箱。特に、大工道具を入れておく箱。出典:コトバンク
とありますから、大工道具箱が一番古いのかもしれません。

大工は、大工道具の「差し金(さしがね)」を考案したといわれている聖徳太子の飛鳥時代にまでさかのぼるといわれています。
法隆寺が建設されたのは607年、法隆寺に使われている最も古い木材に、墨壺(墨と糸を使用して木材を切断する時の切断面に沿って線を描ける道具)を使って引いたと思われる墨線の跡があり、この時代から様々な大工道具があったことがわかります。
大工さんの道具箱の歴史は古く、鎌倉時代の絵巻物の中に描かれていたり、古典落語にも登場するほどです。
この道具箱は、自分の道具に合わせて、めいめい作っていた木の道具箱で、職人たちが使い勝手、便利さ、作りやすさなど試行錯誤して改良工夫を加え、このような単純で堅牢なスタイルになったと伝えられています。「やりくり式」と呼ばれる左右にスライドして開閉するフタが特長的です。
大工の歴史などはこちら→大工の神様や歴史、種類などなど

大工道具箱
木製の大工道具箱

その他の道具箱

◆食事道具が入れてあった箱膳
蓋(ふた)付きの箱の中に一人分の食器、飯碗(ごはん茶碗)・汁碗・皿・湯飲茶碗・箸などを入れておき、食事の時は蓋を裏返して膳として使用しました。
自分専用の箱膳が用意されていて、食事は残さず食べ、最後にお椀にお茶を注いで飲み、食後はそれらをふきんでぬぐって(又は洗わず)箱膳に仕舞っていたました。 簡便であるため、農家や商家、職人や奉公人などはもっぱらこれを用いました。
箱膳は囲炉裏(いろり)をかこんで食事をしてきた古い時代から長い時代を通して続いてきた習慣でした。1955年(昭和30年)頃までは箱膳を使う家があったそうです。

道具箱
昭和初期の箱膳、昭和初期の和裁裁縫箱、木製救急箱、漆仕上げ硯箱

◆裁縫(手芸)に用いられる道具を収めた裁縫箱
昔は、裁縫といえば手縫いでした。裁縫箱は、和裁用具をいれる大切な箱であり、着るものはすべて家で作るのが当り前であった当時の主婦にとって、それは必需品でもありました。昭和初期の裁縫箱は、木製でひきだしが沢山あって、針や糸、指貫(ゆびぬき)、ヘラ、鋏などがつまっていました。また、くけ棒といって、和裁をするときに布がたるまないように端を挟んで張る棒もついていました。
戦後になってミシンが出回るようになると、裁縫箱もぐっと簡素化し、小さいセルロイドの箱が登場します。和裁道具が消えたかわりに、チャコペンやミシンのボビンといった洋裁の道具が入るようになりました。
セルロイドの詳しい話はこちら→昭和レトロなセルロイド素材の品物

セルロイド裁縫箱
昭和レトロなセルロイド裁縫箱

◆応急処置のために使用される薬品や医療器具を収納した救急箱
救急箱は、明治時代初期に軍隊用に始まったものが最初のようです。医官のいない部隊用に医薬品と包帯などを小箱に詰めて救急箱と称して配付しました。その後、軍隊のみならず鉄道各駅、会社、工場、家庭などにも備えられるようになりました。
急を要する外傷や疾患への初期対処を目的としたもので、持ち運びやすい形状と、内容物を保管し、目的別に取り出しやすいよう、内部は仕切りなどによって小分けされています。また多くの救急箱の外装には、緑十字ないし赤十字のマークが描かれていて、誰が見ても救急箱とわかるようになっていることが多いです。
なお、“富山の薬売り”で有名な「置き薬」は江戸時代に始まります。歴史などはこちら→江戸時代から始まったおまけ付きの「置き薬」

◆書道具を収めた硯箱(すずりばこ)
歴史や由来は、筆と墨を使って文字を書くことが一般的となった奈良時代が起源とされています。
硯箱とはその名の通り、墨を入れておく「硯」、文字を書くための「筆」、墨汁を継ぎ足すための「墨」、墨を研ぐための水を入れておく「容器」、 その他、「小刀」「錐(キリ)」など、毛筆で字を書く際に必要な各種書道具を収めた箱の総称です。写真の漆仕上げ硯箱は平硯箱といい、蓋が深めで、本体を覆うように作られたものが多く、吹き仕上げのシンプルなものから蒔絵や螺鈿が施された豪華なものまで様々です。
現在も書道具として生産・使用されており、国宝レベルの骨董品から現代の日用品として安価に手に入るものまでいろいろな硯箱があります。
なお、同じく毛筆で字を書く文化を持つ中国や朝鮮といったアジアの他国では、日本のように硯を箱に収めるという文化はなかったようで、硯箱は蒔絵と同様、漆器における日本独自のものだそうです。

よいこのおどうぐばこ
サンリオのリトルツインスターズお道具箱、よいこのおどうぐばこ

◆幼稚園児や小学生が学用品を収めるお道具箱
おそらく1960年代から1970年代に使うようになったと思われますが不明です。鉛筆、消しゴム、定規、ペンなど筆記に常用する文房具以外のハサミ、のり、クレヨン、色鉛筆、30cm物差しなどの文房具類を収める主にA4サイズくらいの箱です。
「よいこのおどうぐばこ」は1971年から愛知県の株式会社デビカで製造されている超ロングセラーお道具箱。小さいころに使っていた、という方もいるのではないでしょうか。そんな懐かしい雰囲気いっぱいのオレンジ柄にライオンマークのお道具箱は、現在も販売されています。

出典:道具箱Wikipedia
出典:裁縫箱
出典:硯箱
出典:救急箱
出典:箱膳

最後に

現在は道具箱の素材はプラスチック製が多く軽量なのに丈夫という利点がありますが、密閉性が高いため一度湿気が入ると外に逃げにくく、紙ものなどはシミや波打ちなどの劣化を起こすこともあります。
木製や紙製で丁寧に作られたものは適度に湿気を逃がす絶妙の勘合であり、紙ものにも優しく文字通り優れ物だと感じます。
思い入れのあるものを安心してしまい続けたい人にとってはお道具箱というより“大切な宝箱”といってもいいかもしれません。実際、小学生の頃のお道具箱は丈夫で今でも壊れず持ち続けていて大切な物の保管箱にしています。もちろん、じいちゃんの大工道具が入った、やりくり式のばっちくなった木の道具箱も物置にまだあります。

道具箱とは、特に大工道具を収める箱、“腕のいい大工は道具を大事にすることから大工の腕の善し悪しを見抜くには道具箱を見よ”、これは道具箱を持っている全ての職業の人に言えるかもしれませんね。

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