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「魚肉ソーセージ」はアジなソーセージだった!

「魚肉ソーセージ」はアジなソーセージだった!

ウィンナーはオーストリアのウィーン、フランクフルトはドイツのフランクフルト、サラミはギリシアのサラミで誕生しました。
そして、端をぎゅっと留めている金具の部分を噛んでグルグルと回し、破れたところからオレンジ色のフィルムをぐいぐいと剥いて薄いピンク色のつるんとした肉にかぶりつく、あの「魚肉ソーセージ」は生粋の日本生まれのオリジナル食品です。

最初に「スモークミート」の名で商品化したのは、愛媛県の西南開発株式会社で1951年(昭和26年)のことでした。
誕生の背景には、昭和初期から急速に普及した洋食と、太平洋戦争の影響があるそうです。
洋食の中心は肉食でしたが、まだハムやソーセージは高価な食べもの、しかし畜肉の供給量は簡単には増やせません。そこで国が主導となり魚肉を使った安価な洋風の食材のハムやソーセージの研究が進めらました。
戦前の1935年(昭和10年)には農林水産省水産講習所の教授がマグロを使ったプレスハムの「ツナハム」の製造に成功していて、このことから戦後は食糧難によるタンパク源としての魚肉にますます注目が集まり、1951年の魚肉ソーセージ量産化に成功以降、50年代初期に水産食品メーカーが次々とこの分野に参入していきました。

元祖魚肉ソーセージ

2008年(平成20年)、日本で初めて魚肉ソーセージを販売した西南開発が当時の100%国産アジを使用し、石臼と杵によってすりあげるという昔ながらの製法を限りなく再現した「元祖魚肉ソーセージ」を発売。
これからは生活が洋風化すると踏んで、当時、港に捨てられるほど獲れていたアジを使ってパンに合う食品を作ることを思いついて誕生したのが「スモークミート」でした。

しかし、当初は“蒲鉾とも畜肉ソーセージとも違う中途半端な商品”と消費者に受け止められ販売量を伸ばすことができなかったようです。
価格も、卵1個が10円、コロッケ1個が5円の時代に、1本(130g)30円と高価なご馳走でした。現在のように一人1本ではなく、家族で1本単位だったほど。それでも、国民のタンパク不足解消という目的から、魚肉ソーセージは学校給食の食材として大量に提供されました。

宣伝と地道な普及活動により徐々に魚肉ソーセージの知名度は上がりましたが、1950年代に起きたある出来事がきっかけとなり爆発的に普及します。
アメリカが1953年(昭和28年)に実施したビキニ環礁水爆実験の影響で、マグロの価格が大暴落。安く出回ったマグロを使って安価な魚肉ソーセージが大量に生産され、普及に拍車をかけました。当時の魚肉ソーセージの主原料はマグロと鯨から作られていました。
こうして発売から10年も経たないうちに、魚肉ソーセージは一般に広く認知されるようになり、「西の横綱がインスタントラーメンなら、東の横綱は魚肉ソーセージ」と呼ばれた程の大衆食となりました。冷蔵運搬手段が整っていない時代に、常温で保存ができ、味も淡白で日本人好みと好条件がそろっていたことも大きいようです。
1960年代に入ると、不足気味になったクジラ・マグロに代わって白身魚(スケトウダラやホッケ、エソなど)の冷凍すりみが原料として使われるようになり、1972年(昭和47年)には、魚肉ソーセージの国内生産量(魚肉ハムを含む)は約19万トンとピークを迎えています。

1950~60年頃の新聞広告
1950~60年頃の新聞広告。出典:野球伝説劇場「野球雲」

1953年(昭和28年)に誕生した大洋漁業(現・マルハニチロ食品)の「フィッシュソーセージ」は、1960年代半ばには既に市場シェアの半分を獲得していたそうです。

1950~60年頃の新聞広告
1950~60年頃の新聞広告。出典:懐かしい風景

発売当初、魚肉ソーセージは鮮魚と同じルートで流通していました。つまり、鮮魚荷受けに販売され、魚と同じように相場で値がつけられ、魚屋さんの軒先で売られていたとか。

その後、魚肉ソーセージの市場に陰りが見えてきます。家庭用冷蔵庫の普及により、1967年(昭和42年)には食肉ハム・ソーセージの生産量が魚肉ソーセージを追い抜き、1974年(昭和49年)には一部保存料への規制が高まり、1977年(昭和52年)に国際条約で排他的経済水域(200海里)が設定され、今度は冷凍すり身の価格が上昇。80年代半ばから業界全体の生産量は10万トンを割り、現在はほぼ5~6万トン前後で推移しています。(農林水産省、社団法人日本魚肉ソーセージ協会、調べ)

2000年代に入ると、魚肉ソーセージは再び脚光を浴び始めます。背景にあるのは世界的な健康志向の高まりで、もともと低脂肪で低カロリーな魚肉ソーセージ、合成保存料や合成着色料を使わない安全でヘルシーな食品として再評価されるようになったからでした。現在は、カルシウムやDHAなどの栄養素も多くプラスされた特定保健用食品に指定された商品もあります。
また、常温で保存期間が数カ月と長く、手軽に持ち運べてパッケージを開ければそのまま食べられるので、災害時に備蓄できる食品としての評価も高まっています。

マルハニチロ/フィッシュソーセージレシピ
簡単においしく食べられるレシピのバリエーションがいっぱい。出典:マルハニチロ簡単しあわせレシピ/フィッシュソーセージレシピ

余談ですが、魚肉ソーセージの味は、東西でちょっとした違いがあるそうです。東はおやつやおつまみとして“そのまま食べる(かじる、確かにカジカジが好きかも)”ケースが多いらしく、あっさり味。西では焼いたり炒めたり、サラダやお弁当のおかずにと料理の食材として使うことが多いので、魚らしさを感じさせる味付けになっているとか。

魚肉ソーセージ

魚肉ソーセージとは、魚のすり身が原料比率50%を越える“ソーセージもどき”に仕立てた日本独特の食品で、かにかま(かにかまぼこ)の先祖にあたるとみられていますが、いずれも身元を偽った商品であるので、その血縁関係は明らかではない…(汗。というのは関係ありませんが、長らく肉のソーセージの代用品という位置づけでしたが、魚は嫌いな子どもには“頭の回転をよくするDHAもたくさん含まれているよ”と言って食べさせることができ、また、そのいかがわしい(失礼)ではなく食材としてありそうで無いピンク色ともあいまって、安上がりで懐かしの味と感じる“アジなソーセージ”で、おつまみとしても侮ることはできない存在、と思うのです!

出典:魚肉ソーセージ
出典:マルハニチロのフィッシュソーセージ歴史
出典:レッツエンジョイ魚肉ソーセージ
出典:日本語を味わう辞典

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