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小さな黄色いパッケージに想いを込めた「ミルクキャラメル」

小さな黄色いパッケージに想いを込めた「ミルクキャラメル」

キャラメルというと、黄色いレトロなパッケージの「森永ミルクキャラメル」をまず思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
このキャラメル、1913年(大正2年)生まれで、日本で一番長い歴史を持ちます。
ちなみに、グリコがキャラメルの販売を始めたのが1922年、明治製菓は1927年に「サイコロキャラメル」を発売しています。
ゆうに100年を超えている「森永ミルクキャラメル」、なんとパッケージは1914年に登場したものからほとんど変更されていないという。

ミルクキャラメル誕生

「森永ミルクキャラメル」の歴史は「森永製菓」の歴史でもあるそうです。
1899年(明治32年)、森永太一郎が東京の赤坂に「森永西洋菓子製造所」を設立、その創業当初から作り始め販売しましたが、当初はほとんど売れなかったらしい。
森永太一郎氏がアメリカから持ち帰ったレシピはバターやミルクを多量に使っており、乳製品に馴染みの薄い当時の日本人の口に合わなかったという。それでも味の改良や包装に工夫を凝らし、人々の間に乳製品が滋養分が高いという意識が高まるのに伴い1913年(大正2年)の6月10日に商品名を「ミルクキャラメル」とし、翌1914年、後にキャラメル容器のスタンダードとなったポケットサイズの紙サックに入れて黄色い箱でお土産用に発売をしたところ、爆発的な人気になりました。

森永ミルクキャラメル

パッケージには「滋養豊富」「風味絶佳」の二語をこだわって付けたといいます。これは創業者の森永太一郎が“おいしくて栄養価の高いキャラメルを世界中の子どもたちに食べさせたい”という想いのあらわれだそう。
また、森永製品の象徴、エンゼルマークは、当時の主力商品“マシュマロ”がアメリカで“エンゼルフード”と呼ばれていたものを、栄養たっぷりのおいしいお菓子を運ぶエンゼル=森永、というイメージの浸透を願ったもので、これまで6回変更されています。
ちなみに森永製菓は2000年に6月10日を「ミルクキャラメルの日」に制定し、ほぼ毎年記念商品を発売しています。

積極的な広告活動

完成した「森永ミルクキャラメル」を普及させるには、宣伝にも力を入れました。新聞などのメディア広告を積極的に打ち、その名を浸透させていきます。
大正期のキャラメルは大人の嗜好品だったらしく、広告に「煙草代用」のコピーが記されていて、ハイカラな存在と受け入れられていました。
戦前の名コピーライターとして知られる片岡敏郎氏のもと次々とヒットを生み出し、人気力士の手形をアイキャッチに使った独創的な広告などで認知度を高めていきました。
昭和に入ると需要の担い手は子供たちになり、広告は遠足や運動会など子供の行事をテーマにしたものが多くなります。
世相を反映した広告が多いのも特徴らしく、大学野球をイメージした広告や相撲がテーマの新聞広告など、また1959年(昭和34年)の皇太子御成婚時にも祝賀に合わせた広告を出しています。

森永ミルクキャラメル広告
1915年(大正4年)人気が急上昇していた大学野球をイメージした広告、1926年(大正15年)アールデコスタイルでデザインした広告ポスター/出典:森永ミルクキャラメル広告ギャラリー

キャンペーンにも力を入れ、1931年(昭和6年)には全国を飛行機で横断する広告で話題をさらい、1932年(昭和7年)から1937年(昭和12年)まで行われた「キャラメル芸術」キャンペーンでは応募総数が186万点を超えたそうです。
森永はさまざまな方法で「森永ミルクキャラメル」をアピールし、戦後の経済成長と歩みを揃えるかのように、販売量は伸び続けていきました。
1952年(昭和27年)の広告には、1年に生産される量を横に並べた長さの「世界を3まわり半」という誇らしげなコピーが躍っています。これは、「森永ミルクキャラメル」が国民的菓子になった証でした。
そして、これらの積極的な広告活動が歴史、信頼、情緒的な価値と相まってロングヒットにつながったのでしょう。
2014年10月1日にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しています。
出典:森永ミルクキャラメル歴史年表

森永ミルクキャラメルの当時の時代背景がよくわかる広告ポスターは、こちらから見ることができます。

森永ミルクキャラメルのサイト

最後に

90年代以降は菓子類の多様化や少子化が進み、以前のような成長は望めなくなってしまったようですが、新たな市場を開拓しようと様々なフレーバーのキャラメルや期間限定の新商品の投入などや、運動時の糖分補給に最適として「キャラメル・ウォーキング」キャンペーンと色々な取り組みを行っているそうです。
発売以来変わらない、小さなキャラメルに込められた大きな想い、そして黄色いパッケージに込めたブランドアイデンティティー、幅広い世代に親しまれている一世紀を超える森永ミルクキャラメルの人気で、明治、大正、昭和、平成、令和と5元号をまたいで発売されています。きっと、次の世代にも引き継がれる存在になることでしょう。
しかしながら、キャラメル市場自体が縮小傾向と聞き及びます。個人的な意見として、キャラクターがあったらもっと商品展開が広がったのではないかな、とちょっと残念に思いました。

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