昭和レトロな玩具・家電・雑誌・家具・建物などなどをご紹介

我が道を行く「ミルクコーヒー缶」

我が道を行く「ミルクコーヒー缶」

前回の「コーヒー牛乳」に続き、「缶コーヒー」も気になり調べてみました。
缶コーヒーというと思い出されるのが“飲むんだったらUCC、いつでもどこでも、UCCコーヒー♪”というCMソング、これは1975年(昭和50年)のCMだそう。
コーヒー好きならずとも 、一度は口にしたことがあるだろうあのUCCのミルクコーヒー缶ですね。
缶コーヒーは数あれど、やはり昭和レトロなパッケージのこの缶コーヒーはひと味もふた味も違っていました。

世界初の缶コーヒーの誕生

1923年(大正12年)に瓶入りの「珈琲牛乳」が初めて誕生、1960年代は各メーカーの勃興で「コーヒー牛乳」は親しまれていきました。
そんな時代の1969年(昭和44年)に世界初の缶コーヒーが上島珈琲(現・UCC上島珈琲)から「UCCコーヒーミルク入り」という名称で誕生します。

当時は缶入りの飲料は一部のジュースやコーラくらいしかなく、店頭販売や自販機でも瓶入りがほとんどでした。コーヒーもレギュラーコーヒーを喫茶店で飲むスタイルが一般的で、家庭でコーヒーを飲む習慣はまだ根付いていませんでした。そのような時代に、創業者の上島忠雄氏が、鉄道駅で売られていた瓶入りコーヒー牛乳を、列車発車時に飲みかけで返却しなければならないことが多いのを“もったいない”と感じて発案したのが缶入りのコーヒーだったとか。
値段は喫茶店のコーヒーとほぼ同じで1本70円、人気に火が付いたのは1970年(昭和45年)に開催された「日本万国博覧会」の会場での販売からでした。

1973年(昭和48年)になると競合他社が一斉に缶コーヒーを売り出し激しい販売競争になりますが、先んじてコールド専用の自販機を導入、間もなくコールド/ホット兼用の自販機を開発し、1年を通じて商品を販売できるようにしました。
この自販機の影響は大きく、UCCを含む缶コーヒーの市場は1970年代以降、急成長を遂げていきます。

缶コーヒー色々

なお、消費者の健康志向と本物志向により、1994年(平成62年)に発売したUCC「BLACK無糖」は大ヒットしたとか。実は、ブラックコーヒーを業界でいち早く発売したのもUCCで、1973年(昭和48年)に「ブラックコーヒー」という商品名で発売しています。

その後、2000年(平成12年)には自販機事業を他社に譲渡してしまい、現在、「UCCミルクコーヒー」を販売しているのはスーパーやコンビニ等の小売店で、販売の主役も新商品に代わりました。

ちなみに、日本で初の清涼飲料用自販機導入は、1962年(昭和37年)東京コカ・コーラ(現・日本コカ・コーラ)で全国に合計880台が設置されたという。そして缶用自販機の登場は1970年(昭和45年)で非炭酸飲料の販売でした。出典:自動販売機の歴史/日本コカ・コーラ

サイズや容器のトレンド

1994年(平成62年)に発売したUCC「BLACK無糖」の頃は、飲みきりサイズのショート缶が流行っている時で、2000年(平成12年)頃から再栓できるボトル缶が急拡大します。2017年頃からは“ちびだら飲み”ができる再栓容器の500mlペットボトルが人気になり、現在のコーヒー飲料は、特定の容器だけがもてはやされる時代は過ぎ、消費者の価値観や飲用シーンの多様化に合わせ、それぞれの容器特性に合った提案が広がっているそうです。
例えば、本格感のあるブラックコーヒーや濃厚なカフェラテなどの高品質路線はショート缶やボトル缶が増えており、すっきりとしたゴクゴク飲めるブラックコーヒーや、さっぱりとした後味のカフェラテはペットボトルで数多くの製品が発売されています。

また最近、再注目されているのがショート缶、短い時間でもしっかり休息を取り気分転換したいという消費者のニーズに合い、飲みきりタイプの濃厚な味わいで“ひと休み”の価値が見直されています。
なお、コーヒー飲料においては、ペットボトル38.7%で缶は52.9%、コーヒーにおける缶の比率はまだ高いようです(2018年、全国清涼飲料連合会調べ)。

ちなみに缶コーヒーは、自動販売機やコンビニを頻繁に利用する20~40歳代の男性が8~9割を占めているとか。

我が道を行くミルクコーヒー

コンビニの冷蔵棚には各社の缶コーヒーがひしめき合い激しい場所取り合戦を繰り広げている中、「UCCミルクコーヒー」は、嗜好や時代のトレンドに合わせた微調整は行っていますがミルク及び砂糖:コーヒーの比率がほぼ7:3でこの比率は現在も変わらず、185g前後のショート缶が主流になった今でも昔と同じ250gのロング缶、シンプルで印象的な“三色缶”は赤はコーヒーの実・白はコーヒーの花・茶は焙煎したコーヒー豆の色を表しているそうでデザインも微妙に変化しましたが、今も昔も変わらないUCC缶コーヒーを貫いているようです。

また、発売当初から「乳飲料」として登場していますが、分類では「コーヒー飲料」に属するそうで香料を使わない本格派だとか。
缶コーヒーの大半が「コーヒー(100g中の生豆使用量5g以上)」又は「コーヒー飲料(100g中の生豆使用量2.5g以上5g未満)」に分類され、数は少ないですがカフェオレとして販売されている「乳飲料」に分類される缶コーヒーもあります。

UCCミルクコーヒー
「UCC ミルクコーヒー」初代(1969年発売)、2代目(1978年発売)、5代目(1993年発売)、8代目(2003年発売) 出典:UCC上島珈琲(株)

つまりかなり異色な存在で、主役の座から降りはしましたが、それは世界初の缶コーヒーというパイオニアとしての揺らぎない自信から、なのでしょうか。
2019年、認定期間50年の「缶コーヒーの世界最長寿ブランド」としてギネス世界記録にも認定されています。そして誕生50周年を記念して、10代目「UCCミルクコーヒー」をリニューアル発売しました。

現在の缶コーヒー市場の規模は徐々に縮小傾向にあるけれど、我が道を行きながら長寿を更新してほしいと願うばかりです。そして今日もどこかで、数多くのファンが三色缶のプルトップを開けていることでしょう

出典:UCC上島珈琲(株)
出典:UCC缶コーヒー
出典:食品産業新聞社
出典:経済産業省

1977-1993 上島珈琲CM集 出典:youtu.be
テキストのコピーはできません。