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江戸時代100種もの料理レシピがあった万能な食べ物「豆腐」

江戸時代100種もの料理レシピがあった万能な食べ物「豆腐」

寒い時期にはお鍋、暑い時期には冷奴、お味噌汁の定番具材「豆腐」、日本人の約80%以上の人々が週に一度は豆腐を食べると言われています。
豆腐は、大豆の絞り汁(豆乳)を凝固材(にがりなど)によって大豆タンパク質を凝固させた食品、その栄養価も非常に高く、美容と健康に効果的と言われていて、現在では日本のみならず世界中で健康食品として人気の高まりを見せています。

豆腐の歴史

豆腐の原料である大豆は、2000年前の紀元前後には日本に伝えられていたそうです。そこに、豆腐の作り方が伝来したのは奈良時代、遣唐使として唐に渡った僧や学者が日本に製法を持ち帰ったとされています。

余談ですが、中国で“豆腐”の字が文献に現れるのは、13世紀(宋の初め、日本では鎌倉時代)の「清異録(せいいろく)」にいたって初めて見られるとか。16世紀に登場した中国の書「本草綱目(ほんぞうこうもく)」に「豆腐は、漢(紀元前2世紀頃)の淮南王劉安に始まる」という記述があることからこれが起源らしいけど、この頃は大豆も存在してなく、これは俗説なのだとか。なので、唐の末期の9世紀頃に誕生したのでは、と考えられています。
出典:「豆腐の話」食物史学者:篠田 統 著

日本での豆腐にまつわる最古の記述は、1183年(平安時代)、奈良にある春日大社の神主の日記に、お供物の一つに「唐符(とうふ)」という2文字が使われて書かれていました。当初は「唐符」や「唐布」などの文字が当てられていましたが、その後「豆腐」が使われるようになりました。
なお、豆腐の“腐”はくさる意味ではなく、中国でヨーグルトを“乳腐”というように、固形状になった柔らかく弾力のあるものをいうそうです。
ちなみに、会席料理などでは「腐る」という言葉は食品に似つかわしくないとして、「豆富」という当て字がよく用いられるとか。

豆腐が日本に入ってからしばらくは、戒律で殺生を禁じられた僧侶の食材でした。その後、精進料理の普及とともに次第に貴族・武家社会へと伝わり、室町時代には全国的に広まっていきます。
鎌倉時代、高野山では僧が精進料理として用意していた豆腐を寒さで凍らせてしまう。ところが食べてみると独特な食感があり、ここから「高野豆腐」が生まれたと言われています。

歌川国貞の浮世絵
「豆腐屋三郎兵衛 市川九蔵」歌川国貞 画(1838年)出典:東京都立図書館

それまでは、豆腐は主に武士や僧たちの間で食べられていた料理でしたが、江戸時代になると庶民にも広く食べられる食材になっていきました。前期の元禄年間までには“絹ごし豆腐”も出てきて、それまでの豆腐は現在の木綿豆腐を基本としたものだったようです。
豆腐に日本独自の作り方や食べ方が加わっていき、製法や調理法の多様性を示すような本も出版されました。それが1782年(天明2年)に醒狂道人何必醇(せいきょうどうじんかひつじゅん)のペンネームで、100種類におよぶ豆腐料理の調理法を解いた本「豆腐百珍(とうふひゃくちん)」、料理の専門家でない文人が趣味で書いた本のようです。これは庶民の間で飛ぶように売れたとか。
翌年には「豆腐百珍続編」が、さらにその後には「豆腐百珍余録」が出され、“豆腐”が一大ブームになったことが伺えます。

豆腐百珍
「豆腐百珍」醒狂道人何必醇 著(1782年)出典:新日本古典籍総合データベース
豆腐百珍
「豆腐百珍」“うどん豆腐”の切り方の説明には心太(ところてん)の突き出しを使うのもよい、と書いてあります。

「豆腐百珍」は、単にレシピを紹介するだけでなく、「尋常品」「通品」「佳品」「奇品」「妙品」「絶品」の6段階にわけ格付けしています。主だったところでは、“飛竜頭(雁(がん)もどき)・凍とうふ・よせとうふ・木の芽田楽”などは最低位の「尋常品」、“絹ごし豆腐”は下から2番目の「通品」、最高位の7品しかない「絶品」には、ごま油で揚げた豆腐を油抜きして葛湯で煮る「油煠(あげ)ながし」、豆腐の田楽にからし酢みそや芥子の実をかけた“礫(つぶて・こいし)でんがく”、湯豆腐である“湯やつこ”、最後が豆腐を細くうどんのように切った“うどん豆腐”などを挙げています。
そして、“蜆(しじみ)もどき・香魚(あゆ)もどき・精進の海胆(うに)田楽”など、“もどき”がいくつか含まれているのが特徴のひとつで、これは魚肉や獣肉などの「なまぐさもの」と「精進もの」を食べわけるという習慣があり、そのために“もどき”は必要不可欠だったそうです。

江戸時代は、現代よりも豆腐がたくさん食べられていた時代だったのかもしれません。
その後、“豆腐”は日本食の一つとして食され続け、今日では健康・ダイエット食品としても注目される存在です。

豆腐のあれこれ

冷やした豆腐を“冷奴(ひややっこ)”と呼ぶのかは…奴(やっこ)というのは参覲交代などの大名行列の際に先頭で槍などを持つ「槍持奴」のこと。この槍持奴が着ていた半纏(はんてん)に「釘抜紋(くぎぬきもん)」と呼ばれる大きな四角い紋が染め抜かれていたのですが、これが豆腐にそっくりだったとか。そこから豆腐を“奴豆腐”と呼ぶようになり、冷やした豆腐は“冷奴”、あたたかい湯豆腐は“湯奴(ゆやっこ)・煮奴”と呼ぶようになったんだそう。

豆腐は一丁(いっちょう)、二丁と数えますが、昔、豆腐は2個で一丁。1個だけ買いたい時は“半丁”と言いました。実はこの“丁”は博打などで使う“半か丁か”の“丁”で、偶数という意味で、この偶数の意味を残した形で使われているのだとか。
一丁は何グラムかというと、だいたい300~350gが多く、地方になると若干大きめの350~400g、沖縄では1kg、が一般的だそうです。

木綿豆腐」は、木綿の布を敷いた型箱に入れて押し固めた豆腐で、表面に木綿の布目ができているもの、「絹ごし豆腐」は、そのまま器の中で静かに固めた豆腐で、きめが細かく美しいことから木綿に対して絹ごしと名付けられています。栄養面の高いのは、水分量の少ない木綿豆腐で、タンパク質や脂質が多くミネラル類も豊富です(カルシウムは絹ごし豆腐の約3倍弱、ビタミンEは約2倍)。絹ごし豆腐は水溶性のカリウムや、水溶性のビタミンB1やB2、炭水化物が多く含まれています。
なお、それぞれの種類の豆腐の好意度では、絹ごし豆腐が好きな人(とても好き・好き・やや好きの合計)は85.4%、木綿豆腐は78.1%でした。(出典:食品産業新聞社:2019年、森永乳業調査)

豆腐の角で頭をぶつけて死ね…とは落語に由来してる慣用句・ことわざで、馬鹿げた冗談でさえも真に受けてしまうに違いないような四角四面の真面目人間を嘲って言う意味ですが、実際に豆腐で人が死ぬには秒速340メートルの速度でぶつける必要があるとか。しかし豆腐そのものは崩壊してしまいますが。大抵この言葉が出るときは死ぬつもりや殺すつもりは無いので安心して良いのではないかと(笑。
出典:ねとらぼ

豆腐料理いろいろ
うどん豆腐、豆腐田楽、肉豆腐、揚げ出し豆腐

最後に

大豆を使った食材は、納豆、醤油、味噌、もやし、枝豆と、そんな食べ物の中でも、とりわけ万能的と言えるのが「豆腐」ではないでしょうか。
醤油、味噌汁、鍋、中華料理と、なににでも合いますし、色は白くて食感は柔らか、そして風味はたんぱく。自己主張しすぎないこれらの要素が逆に豆腐の特徴にもなり、様々な食材との相性の良さを生み出しているのでしょう。
実際、豆腐の好きなポイントは「価格が手頃」が66.3%、「栄養価が高い」が59.6%、「さまざまな料理に使える」が56.0%、「そのまま食べてもおいしい」が54.5%、という結果に。(出典:食品産業新聞社:2019年、森永乳業調査)

冷奴

また、昭和の風物詩として、パープーとラッパを吹いて自転車で作りたてを売る豆腐屋がきて、なんて思い出もあります。自分は木綿豆腐が好きで、たぶん週4日は食べていたりします。
食卓に欠かせない豆腐、やはり夏は美味しい木綿豆腐のシンプルな冷奴が一番です!

出典:豆腐
出典:コトバンク/豆腐
出典:豆腐はなぜ腐っていないのに「腐」と書くの?

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